iポレオンのことをニコラ[#「ニコラ」に傍点]と呼ぶ俗歌が非常に喜ばれた。社交界の最もやさしい美しい公爵夫人らが、「義勇兵ら」([#ここから割り注]訳者注 ナポレオンがエルバ島より帰還せし時の[#ここで割り注終わり])に向けられた次のような俗謡に我を忘れて喝采《かっさい》した。

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ズボンの中に押し込めよ、
はみ出たシャツの片端を。
白き旗を愛国者らは
掲げたりと人に言わすな。([#ここから割り注]訳者注 白き旗は王党の旗[#ここで割り注終わり])
[#ここで字下げ終わり]

 また人々は、痛烈なものだと思ってる地口を言ってはおもしろがり、皮肉だと思ってる他愛もない洒落言葉《しゃれことば》を言ってはおもしろがり、四行句や対連句を言ってはおもしろがった。たとえばドゥカーズやドゥゼール氏らが連なっていた穏和なデソール内閣についての次のような句。

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ぐらつく王位を固めんためには、
土地《ソール》、室《セール》、小屋《カーズ》を取り代うべし。
[#ここで字下げ終わり]

 あるいはまた、「おぞましきジャコバン院」である上院の名簿を作り、その中に種々
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