ー々と言っていた、「フランス大革命は無頼漢どもの寄り合いだ[#「フランス大革命は無頼漢どもの寄り合いだ」に傍点]。」
三 リュク・エスプリ
十六歳の時に彼は、当時成熟していてヴォルテールから歌いはやされた有名なふたりの美形カマルゴー嬢とサレ嬢とから、同時に色目を使われるの光栄に浴した。そして両方の炎の間にはさまれて、勇ましい退却を行ない、ナアンリーという小さな踊り子の方へなびいていった。その娘は彼と同じ十六歳で、まだ子猫《こねこ》のように名も知られない者だったが、彼はそれに恋したのだった。彼はいつもその思い出をいっぱい持っていた。彼はよく叫んだ。「あのギマール・ギマルディニ・ギマルディネットは実にきれいだった。最後にロンシャンで会った時には、髪の毛を神々《こうごう》しくちぢらし、世にも珍しいトルコ玉の飾りをつけ、赤ん坊の頬《ほほ》の色のような長衣を引っかけ、ふさふさしたマッフを持っていた。」彼はまた青春の頃にナン・ロンドランのチョッキをつけてたことがあって、そのことを心ゆくばかり語っていた。「私は日の出る東《あずま》のトルコ人のような服を着ていた、」と彼はよく言った。二
前へ
次へ
全512ページ中55ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング