湿った薪《たきぎ》の上に灰をかぶせ、すっかりそれを埋めてしまった。
それから立ち上がって、暖炉に寄りかかって言った。
「さあこれで慈善家を迎えることができる。」
八 陋屋《ろうおく》の中の光
姉娘は父親の所へ寄ってきて、彼の手の上に自分の手を置いた。
「触《さわ》ってごらん、こんなに冷いわ。」と彼女は言った。
「なあんだ、」と父は答えた、「俺《おれ》の方がもっと冷い。」
母親は性急に叫んだ。
「お前さんはいつでもだれよりも上だよ、苦しいことでもね。」
「黙ってろ。」と男は言った。女は一種のにらみ方をされて黙ってしまった。
陋屋《ろうおく》の中は一時静まり返った。姉娘は平気な顔をしてマントの裾《すそ》の泥を落としていた。妹の方はなお泣き続けていた。母親は両手に娘の頭を抱えてやたらに脣《くちびる》をつけながら、低くささやいていた。
「いい児だからね、泣くんじゃないよ、何でもないからね。泣くとまたお父さんに怒られるよ。」
「いやそうじゃねえ。」と父は叫んだ。「泣け、泣け。泣く方がいいんだ。」
それから彼は姉娘の方へ向いて言った。
「どうしたんだ、こないじゃねえか。こな
前へ
次へ
全512ページ中375ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング