をつかんだ。
「まあ有り難い、」と彼女は言った、「太陽《おひさま》が照ってる!」
 そしてあたかもその太陽が、彼女の頭の中の怪しい言葉の雪崩《なだれ》を解かす力でも持ってたかのように、彼女は言い続けた。
「五フラン! 光ってるわ、王様だわ、このでこの中にね。しめだわ。あなたは親切なねんこだわ。あたしあなたにぞっこんでよ。いいこと、どんたくだわ。二日の間は、灘《なだ》と肉とシチュー、たっぷりやって、それに気楽なごろだわ。」
 そんな訳のわからぬことを言って、シャツを肩に引き上げ、マリユスにていねいにおじぎをし、それから手で親しげな合い図をし、そして扉《とびら》の方へ行きながら言った。
「さようなら。でもとにかく、あのお爺《じい》さんをさがしに行ってみよう。」
 出がけに彼女は、ひからびたパンの外皮が戸棚の上の塵《ちり》の中にかびかかっているのを見つけて、それに飛びかかり、すぐにかじりつきながらつぶやいた。
「うまい、堅い、歯が欠けそうだ。」
 それから彼女は出て行った。

     五 運命ののぞき穴

 マリユスはもう五年の間、貧困、欠乏、窮迫のうちに生きていた。しかし彼はまだ本当の悲
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