気がした。
「何か御用ですか。」と彼は尋ねた。
 若い娘は酒に酔った囚徒のような声で答えた。
「マリユスさん、手紙を持ってきたのよ。」
 彼女はマリユスと名を呼んだ。彼女がやはり彼に用があってきたことは疑いなかった。しかし彼女はいったい何者なのか、どうしてマリユスという名を知ったのか?
 彼がこちらへと言うのも待たないで、娘ははいってきた。彼女はつかつかとはいってきて、驚くばかりの平気さで、室《へや》の方々を見回し、取り乱した寝床をながめた。足には何もはいていなかった。裳衣の大きな裂け目からは、長い脛《はぎ》とやせた膝《ひざ》とが見えていた。彼女は震えていた。
 彼女は実際手に一通の手紙を持っていて、それをマリユスに渡した。
 マリユスは手紙を開きながら、その大きな封糊がまだ湿っているのに気づいた。使いの者は遠くからきたのではないに違いなかった。彼は手紙を読み下した。

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隣の親切なる青年よ!
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 小生は貴下が六カ月以前小生の家賃を御払い下され候好意を聞き及び候《そうろう》。小生は貴下の幸福を祈り候。小生らは一家四人にて、この一週間一片のパン
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