ただもう一目散よ。」
マリユスはその変な言葉でおおよそさとった。憲兵か巡査かがそのふたりの娘を捕えそこなったものらしい、そしてふたりはうまく逃げのびてきたものらしい。
ふたりは彼の後ろの並み木の下にはいり込み、暗闇《くらやみ》の中にしばらくはほの白く見えていたが、やがて消え失せてしまった。
マリユスはしばらくたたずんでいた。
それから歩みを続けようとすると、自分の足元の地面に鼠色《ねずみいろ》の小さな包みが落ちてるのに気づいた。彼は身をかがめてそれを拾ってみた。封筒らしいもので、中には紙でもはいっていそうだった。
「そうだ、」と彼は言った、「あのあわれな女どもが落としていったんだろう。」
彼は足を返し、声を揚げて呼んでみたが、はやふたりの姿は見えなかった。それでもう遠くへ行ったことと思い、その包みをポケットの中に入れ、そして食事をしに出かけて行った。
途中、ムーフタール街の路地で、彼は子供の柩《ひつぎ》を見た。黒ラシャでおおわれ、三つの台の上に置かれて、一本の蝋燭《ろうそく》の火に照らされていた。暗がりのふたりの娘のことが思い出された。
「あわれな母たち!」と彼は考えた。「
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