似《そらに》に過ぎなかったのだろう。」

     二 拾い物

 マリユスはなお続けてゴルボー屋敷に住んでいた。そしてそこのだれにも気をつけていなかった。
 実際その頃、ゴルボー屋敷には彼とジョンドレットの一家だけしか住んでいなかった。彼はジョンドレットの負債を一度払ってやったことがあるが、その父にも母にも娘らにもかつて口をきいたことはなかった。他の借家人らは、引っ越したか、死んだか、または金を払わないので追い出されるかしてしまっていた。
 その冬のある日、太陽は午後になって少し現われたが、それも二月の二日、すなわち古い聖燭節の日であった。このちょっと姿を現わした太陽は、やがて六週間の大寒を示すものであって、あのマティユー・レンスベルグが次の古典的な二行の句を得たのもそれからである。

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日をして輝き閃《ひらめ》かしめよ、
さあれ熊《くま》は洞穴《どうけつ》に帰るなり。
[#ここで字下げ終わり]

 マリユスは外に出かけた。夜のやみが落ちようとしていた。ちょうど夕食の時間だった。いかに美しい愛に心奪われていても、悲しいかな食事はしなければならない。
 彼は家の戸
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