「今どこに住んでいられますか。」
「一向知りません。」
「ではこんどの住所を知らして行かれなかったんですか。」
「そうです。」
そして門番は頭を上げて、マリユスに気づいた。
「やああなたですか。」と彼は言った。「それじゃあなたはやはり警察の方ですね。」
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第七編 パトロン・ミネット
一 鉱坑と坑夫
人間のあらゆる社会は皆、劇場でいわゆる奈落[#「奈落」に傍点]なるものを有している。社会の地面は至る所発掘されている。あるいは善を掘り出さんがために、あるいは悪を掘り出さんがために。そしてそれらの仕事は互いに積み重なっている。そこには上方の鉱坑もあれば、下方の鉱坑もある。そういう薄暗い地下坑は、時として文明の下に影を没し、また無関心で不注意なるわれわれによって足下に蹂躙《じゅうりん》さるることもあるが、それ自身に上部と下部とをそなえている。十八世紀におけるフランスの百科辞典は、やはりその一つの坑であって、ほとんど地上に現われてるものであった。初代キリスト教をひそかにはぐくんでいたあの暗黒は、やがてローマ皇帝の下に爆発して光明をもって人類を満たさんが
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