、悲しそうなまじめな顔つきをしていて、退職の軍人かとも見える頑丈《がんじょう》なしかも疲れ切った様子をしていた。もし勲章でもかけていたら、「もとは将校だな」とマリユスに思わしたかも知れない。親切そうではあるがどこか近寄り難いところがあって、決して人に視線を合わせることをしなかった。青いズボンと青いフロックとをつけ、いつも新しく見える広い縁の帽子をかぶり、黒い襟飾《えりかざ》りをし、まっ白ではあるが粗末な麻のちょうどクエカー宗徒のようなシャツを着ていた。ある日ひとりの浮わ気女工がそのそばを通って、「身ぎれいな鰥夫《ひとりもの》だこと」と言った。頭髪はまっ白だった。
彼に連れられてきて、二人で自分のものときめたようなそのベンチに初めて腰掛けた時、娘の方はまだ十三、四歳であって、醜いまでにやせており、ぎごちなく、別に取りどころもなかったが、目だけはやがてかなり美しくなりそうな様子だった。けれどもただ、不快に思われるほどの厚かましさでいつもその目を上げていた。修道院の寄宿生に見るような同時に年寄りらしいまた子供らしい服装をして、黒いメリノラシャのまずい仕立て方の長衣をつけていた。ふたりは親子
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