の後ろをふり返って見るのに彼は気づいた。そして心のうちに冷やりとして、逃げ出すか身を隠すかした。きっと自分の古い服を見て笑っているのだと彼は思った。しかし事実は、彼の様子のいいのを彼女らは見てあこがれてるのであった。
彼と通りがかりのきれいな娘らとの間のそういう暗黙の誤解から、彼は妙に頑《かたく》なになった。あらゆる女の前から逃げ出したので、結局彼はいずれの女かを選んでそれに近寄ろうとすることをしなかった。かくて彼はこれと定まりのない、クールフェーラックの言葉に従えば開けない、生活をしていたのである。
クールフェーラックはまた彼に言った。「そう聖人ぶろうとするなよ。(彼らはへだてのない言葉を使っていた。へだてのない言葉を使うのは青年の友情の特質である。)まあ僕の忠告でも聞けよ。そんなに書物ばかり読まないで、少しは女でも見てみろ。娘っ児も何かのためにはなるぜ、マリユス。逃げ出したり顔を赤くしたりしていると、ばかになっちまうぜ。」
またある時、クールフェーラックはマリユスに出会って言った。
「やあ今日は、牧師さん。」
クールフェーラックにそういうたぐいのことを言われると、その一週間
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