った。マリユスはその申し出を断わった。
マリユスは孤立の生活をしていた。すべてのことの局外にいたいという趣味から、またあまりに脅かされたために、アンジョーラの主宰する群れにもすっかりはいり込みはしなかった。やはり仲のいい間がらではあり何か起こった場合にはできるだけの方法で助け合うことにはなっていたが、しかしそれ以上には深入りしなかった。マリユスは友人をふたり持っていた。ひとりは青年のクールフェーラックで、ひとりは老人のマブーフ氏だった。どちらかと言えば彼はその老人の方に傾いていた。第一に、そのおかげで心の革命が起こったし、またそのおかげで父を知り父を愛したのであった。「彼は私の[#「彼は私の」に傍点]内障眼《そこひ》をなおしてくれた[#「をなおしてくれた」に傍点]」とマリユスは言っていた。
確かにその会堂理事は決定的な働きをした。
けれども、その場合マブーフ氏は、天意に代わって静かに虚心平気に仕事をなしたのである。彼は偶然にそして自ら識《し》らずしてマリユスを照らしたのであって、あたかも人からそこに持ちきたされる蝋燭《ろうそく》のごときものだった。彼はその蝋燭であって、その人では
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