お》すべきものたらしめ、従って人を精神的生活の方へ飛躍せしむる。富裕なる青年は、多くのはなやかな野卑な楽しみを持っている。競馬、狩猟、畜犬、煙草《たばこ》、カルタ、美食、その他。すべて魂の高尚美妙な方面を犠牲に供する、下等な方面の仕事である。貧しい青年は骨折ってパンを得、それを食し、食し終わった後にはもはや夢想のほか何もない。彼は神より与えらるる無料の劇場に赴《おもむ》く、彼は見る、天、空間、星辰、花、小児、その中にあって彼自ら苦しんでいる人類、その中にあって彼自ら光り輝いている創造。彼はつくづく人類をながめてそこに魂を認め、つくづく創造をながめてそこに神を認める。彼は夢想して自ら偉大なることを感じ、なお夢想して自ら温和なることを感ずる。悶々《もんもん》たる人間の利己主義を脱して、瞑思《めいし》する人間の同情心に達する。彼のうちには賛美すべき感情が花を開く、自己の忘却と万人に対する憐憫《れんびん》とが。自然が閉じたる魂には拒み、開いたる魂にはささげ与え惜しまない、あの無数の怡悦《いえつ》を考えつつ、英知の上の長者たる彼は、金銭の上の長者たる人々をあわれむようになる。精神のうちに光明がは
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