すね。」
「そうです。」
「ですが私は金がいるんですが。」
「クールフェーラック君に、話があるからきてくれと言って下さい。」とマリユスは言った。
クールフェーラックはやってき、主人は去って行った。マリユスは彼に、今まで口にしようとも思わなかったことを、自分は世界に孤独の身で親戚もないということを語った。
「君はいったい何になるつもりだい。」とクールフェーラックは言った。
「わからないんだ。」とマリユスは答えた。
「何をするつもりだい。」
「わからない。」
「金は持ってるのか。」
「十五フランだけだ。」
「では僕に貸せというのか。」
「いや決して。」
「着物はあるのか。」
「あれだけある。」
「何か金目《かねめ》のものでも持ってるのか。」
「時計が一つある。」
「銀か。」
「金《きん》だ。このとおり。」
「僕はある古着屋を知っている。君のフロックとズボンを買ってくれるだろう。」
「そいつは好都合だ。」
「ズボンとチョッキと帽子と上衣《うわぎ》とを一つずつ残しておけばたくさんだろう。」
「それから靴《くつ》と。」
「何だって! 跣足《はだし》で歩くつもりじゃないのか。ぜいたくな奴《やつ》
前へ
次へ
全512ページ中223ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング