かご》に対しては人のいい笑いを浮かべた。そしてたちまちにして、ヨーロッパは色を失い耳をそばだて、軍隊は行進を初め、砲車は回転し、船橋は河川に渡され、雲霞《うんか》のような騎兵は颶風《ぐふう》の中を駆けり、叫喚の声、ラッパの響き、至る所王位は震動し、諸王国の境界は地図の上に波動し、鞘《さや》を払った超人の剣の音は鳴り渡り、そして人々は、彼が手に炎を持ち、目に光を帯び、大陸軍と老練近衛軍との二翼を雷鳴のうちに展開して、地平にすっくと立ち上がるのを見た。それは実に戦いの天使だったのだ。」
皆は沈黙していた。そしてアンジョーラは頭を下げていた。沈黙は多くの場合、承認かあるいは一種の屈服の結果である。マリユスはほとんど息もつかずに、ますます熱烈さを増して言い続けた。
「諸君、正しき考えを持とうではないか。そういう皇帝の帝国たるは、一民衆にとっていかにも光輝ある運命ではないか。そしてこの民衆が実にフランスであり、この民衆はその才能をこの人物の才能に結合したのだ。出現し君臨し、進み行き、勝利を博し、あらゆる国都を宿場とし、自分の擲弾兵《てきだんへい》を取って国王となし、諸王朝の顛覆《てんぷく》を布
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