ゥわうそ》の帽子をかぶっていた、ルーヴェルは丸い帽子をかぶっていた、老ドラポルトは禿頭《はげあたま》で何もかぶっていなかった、カスタンはまっかなきれいな顔をしていた、ボリーはロマンティックな頤髯《あごひげ》をはやしていた、ジャン・マルタンはなおズボンつりをかけていた、ルクーフェは母と言い争った。「ねどこのことをぐずぐず言うなよ[#「ねどこのことをぐずぐず言うなよ」に傍点]、」とひとりの浮浪少年はその二人に叫んだ。またあるひとりはドバッケルが通るのを見ようとしたが、群集の中で自分があまり小さかったので、川岸の街燈柱を見つけてそれに登り初めた。するとそこに立っていた憲兵が眉《まゆ》をしかめた。「登らして下さい、憲兵さん、」と少年は言った。そして彼の心を和らげるためにつけ加えた、「落ちはしませんから。」「落ちようとそんなことはかまわないさ」と憲兵は答えた([#ここから割り注]訳者注 上にある多くの人物はみな重罪によって死刑に処せられし人[#ここで割り注終わり])。
浮浪少年の間では、著名な事件は非常に尊ばれる。深く「骨までも」傷をした者があると、仲間の尊敬の頂上までも上りつめることができる
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