悪くして言った。
「君は何派だと言うんだ。」
「民主的ボナパルト派だ。」
「鼠色《ねずみいろ》のおとなしい奴《やつ》だな。」とクールフェーラックは言った。
翌日、クールフェーラックはマリユスをミューザン珈琲《コーヒー》店に導いた。それから彼は、微笑を浮かべてマリユスの耳にささやいた、「僕は君を革命に巻き込んでやらなけりゃならない。」そして彼をABCの友の室《へや》へ連れて行った。彼はマリユスを仲間の者らに紹介して、低い声で「生徒だ」とただ一言言った。マリユスにはそれが何の意味だかわからなかった。
マリユスは多くの精神の蜂《はち》の巣の中に落ち込んだ。もとより彼は無口で沈重であったが、飛ぶべき翼もなく戦うべき武器も持たない人間ではなかった。
マリユスはその時まで孤独で、習慣と趣味とによって独語と傍白とに傾いていたので、まわりに飛び回ってる青年らにいささか辟易《へきえき》した。それら種々のはつらつたる若者は、同時に彼を襲い彼を引っ張り合った。自由と活動とのうちにあるそれら精神の入り乱れた騒ぎを見ては、彼の思想は旋風のように渦《うず》をまいた。時とするとその思想は混乱して、遠く逃げ去っ
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