てきた。そういうところから彼の快活が由来したのである。彼は言っていた、「僕は[#「僕は」に傍点]瓦《かわら》がくずれ落ちる屋根の下に住んでいるんだ[#「くずれ落ちる屋根の下に住んでいるんだ」に傍点]。」驚くことはまれで、なぜなら事変が起こるのがあらかじめわかっているのだから、いけない時でも平気に構えており、運命の意地悪さにも笑っていて、まるで冗談をきいてる人のようだった。貧乏ではあったが、彼の上きげんのポケットはいつも無尽蔵だった。すぐに一文なしになってしまうが、笑い声はいつまでも尽きなかった。窮境がやってきても彼はその古|馴染《なじみ》に親しく会釈した。災厄をも親しく遇した。不運ともよく馴染み、その綽名《あだな》を呼びかけるほどになっていた。「鬼門《きもん》さん、今日は、」と彼はいつも言った。
 その運命の迫害が、彼を発明家にしてしまった。彼は種々の妙策を持っていた。少しも金は持たなかったが、気が向くと「思うままの荒使い」をする術《すべ》を知っていた。ある晩、彼はある蓮葉女《はすはおんな》と夜食をして、ついに「百フラン」を使い果たしてしまった。そしてそのばか騒ぎのうちに、次のようなす
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