見かけによらぬ思索力があった。
 彼はABCの友と、未だ成立しないが早晩形造られるべき他の団体との間の、連鎖となっていた。
 それら青年の集会所のうちには、ひとり禿頭《はげあたま》の会員がいた。
 ルイ十八世が国外に亡命せんとする日、それを辻馬車《つじばしゃ》の中に助け入れたので公爵となされたアヴァレー侯爵が、次のような話をした。一八一四年、フランスに戻らんとして王がカレーに上陸した時、ひとりの男が王に請願書を差し出した。「何か望みなのか、」と王は言った。「陛下、郵便局が望みでござります。」「名は何という?」「レーグルと申します。」
 王は眉《まゆ》をひそめ、請願書の署名をながめ、レグルと書かれた名を見た。このいくらかボナパルト的でない綴字《つづりじ》に([#ここから割り注]訳者注 レーグルとは鷲の意にしてナポレオンの紋章[#ここで割り注終わり])王は心を動かされて、微笑を浮かべた。「陛下、」と請願書を差し出した男は言った、「私には、レグール([#ここから割り注]訳者注 顎の意[#ここで割り注終わり])という綽名《あだな》を持っていました犬番の先祖がありまして、その綽名が私の名前となっ
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