かのようだった。彼の唯一の熱情は、権利であり、彼の唯一の思想は、障害をくつがえすことであった。アヴェンチノ山に登ればグラックスとなり、民約議会《コンヴァンシオン》におればサン・ジュストともなったであろう。彼はほとんど薔薇《ばら》を見たことがなく、春を知らず、小鳥の歌うのを聞いたことがなかった。エヴァドネの露《あら》わな喉《のど》にも、アリストゲイトンと同じく彼は心を動かされなかったであろう。彼にとってはハルモディオスにとってと同じく、花は剣を隠すに都合がよいのみだった。彼は喜びの中にあっても厳格だった。共和以外のすべてのものの前には、貞操を守って目を伏せた。彼は自由の冷ややかな愛人であった。彼の言葉は痛烈な霊感の調を帯び、賛美歌の震えを持っていた。彼は思いもよらない時に翼をひろげた。彼のそばにあえて寄り添わんとする恋人こそ不幸なるかなである。もしカンブレー広場やサン・ジャン・ド・ボーヴェー街の浮わ気女工らにして、中学から抜け出たばかりのような彼の顔、童《わらべ》のような首筋、長い金色の睫毛《まつげ》、青い目、風にそよぐ髪、薔薇色の頬《ほお》、溌剌《はつらつ》とした脣《くちびる》、美しい
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