モウん! 来ましたよ。私です。私はあなたと同じ心を持っています。私はあなたの児です!」いかに彼は父の白い頭を抱き、その髪を涙でぬらし、その傷をながめ、その手を握りしめ、その服をなつかしみ、その足に脣《くちびる》をつけたことであろう。ああなぜに父は、長寿を保たず、天の正しき裁きをも受けず、息子の愛をも受けないで、かくも早くいってしまったのか。マリユスは心の中で絶えずすすりなきし、常にそれを「ああ!」と言葉にもらした。同時に彼はまた、いっそう本当にまじめになり、いっそう本当に沈重になり、自分の信念と思想とにいっそう固まった。各瞬間に、真なるものの光が彼の理性を補っていった。彼のうちには一種の内的発育が起こってきた。自分の父と自分の祖国と、彼にとっては新しいその二つのものがもたらしてくる、一種の自然の生長を彼は感じた。
 鍵《かぎ》を手にしたがようにすべては開けてきた。彼は今まできらっていたものを了解し、今まで憎んでいたものを見通した。それ以来彼は、嫌忌《けんき》すべく教えられた偉業について、のろうべく教えられた偉人らについて、天意的にしてまた人間的なる犯すべからざる意義を明らかに見た。昨日
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