んがためには互いに殺し合う。騎兵隊と歩兵隊とは互いにぶつかって砕け散乱する。戦いの大いなる泡《あわ》である。一端のロボーと他端のレイユとはともにその波のうちに押し流された。ナポレオンは近衛兵の残兵をもって城壁としようとしたが無効であった。彼はいたずらに手もとの騎兵数個中隊を最後の努力のうちに失ってしまった。キオーはヴィヴァイアンの前に退き、ケレルマンはヴァンデロイルの前に退き、ロボーはビューローの前に退き、モーランはピルヒの前に退き、ドモンとシュベルヴィックはプロシアのウィルヘルム大侯の前に退いた。皇帝の騎兵隊を率いて突撃したギイヨーは、イギリス竜騎兵の足下に倒れた。ナポレオンは逃走兵のうちを駆け回って、彼らに説き、促がし、威嚇《いかく》し、切願した。その朝皇帝万歳を叫んだすべての口は、今はただ茫然《ぼうぜん》とうち開いてるのみだった。彼らはほとんど皇帝をも見知らないがようだった。新たにやってきたプロシアの騎兵は、突進し、疾駆し、なぎ払い、切りまくり、粉砕し、殺戮《さつりく》し、殲滅《せんめつ》せんとした。馬は飛び出し、大砲はそこに残された。輜重兵《しちょうへい》らは弾薬車から馬をはず
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