んどレイユの全軍団がそこに使用されて、そして失敗した。ケレルマンの砲弾は、その勇敢な壁面に向かってほとんどうちつくされた。ボーデュアンの旅団はウーゴモンを北方より強取せんとして成らず、ソアイの旅団はその南方をわずか突入し得たのみで、それを抜くことはできなかった。
 その中庭の南側には、農家が立ち並んでいる。そしてフランス軍にこわされた北門の一片が壁にかかっている。それは二本の横木に釘付けにされた四枚の板であって、その上にはなお攻撃の跡を認むることができる。
 フランス軍に破られた北門は、壁から下がっていた鏡板の代わりに木片がつけられていて、中庭の奥に半ば開いている。それは、中庭の北方を囲む下は石で上は煉瓦《れんが》の壁の中に、四角にあけられたものである。いずれの小作地にもあるような単純な車道門であって、粗末な板でできてる大きな二つの扉《とびら》がついている。その向こうが牧場になっている。その入り口の争奪戦は猛烈なものだった。門の竪框《たてかまち》の上には血にまみれた手のあらゆる痕跡《こんせき》がその後長く見えていた。ボーデュアンが戦死したのもそこであった。
 戦争の嵐はなおその中庭のう
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