まで耳をすまし、それから墓穴の方へ身をかがめて、低い声で言った。
「マドレーヌさん!」
 何の答えもなかった。
 フォーシュルヴァンはぞっとした。彼は墓穴の中におりるというよりも、むしろころげ込んで、棺の頭の方に身をなげかけ、そして叫んだ。
「そこにおいでですか。」
 棺の中はひっそりとしていた。
 フォーシュルヴァンは震え上がって息もつけなかったが、それでも鋭利な鑿《たがね》と金槌《かなづち》とを取って、上の板をはねのけた。ジャン・ヴァルジャンの顔がほの暗い中に見えたが、目は閉じ、色は青ざめていた。
 フォーシュルヴァンの髪の毛は逆立った。彼はまっすぐに立ち上がり、それから穴の壁にもたれかかり、気を失って棺の上に倒れんばかりになった。彼はじっとジャン・ヴァルジャンをながめた。
 ジャン・ヴァルジャンは色を失って身動きもしないで、そこに横たわっていた。
 フォーシュルヴァンは息ばかりのような弱い声でつぶやいた。
「死んでいなさる!」
 それから立ち直って、両の拳《こぶし》が肩に激しくぶっつかったほど急に両腕を組んで、叫んだ。
「助けてあげたのがこんなことに!」
 そしてあわれな老人はむ
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