」に傍点]とかお爺さん[#「お爺さん」に傍点]とか呼んでいたのだった。
「あの、旦那、」と彼女はやさしそうな様子をして言った。その様子は彼女の邪慳《じゃけん》な様子よりもなおいっそう嫌味《いやみ》なものであった。「私はあの児を遊ばしてやりたいのですよ。決してそれを不承知ではありません。一度くらいはよろしいんですとも、旦那が御親切に言って下さいますから。でもあの児は何にも持たないのです。仕事をさせないわけには参りませんのです。」
「それではあなたの児ではないのですか、あの娘は。」と男は尋ねた。
「いいえどうしまして旦那。あのようにして慈善のために引き取ってやってる貧乏な児です。ばかな児なんですよ。頭の中には水でもはいっているんでしょう。御覧のとおり大きな頭をしています。私どももできるだけのことはしてやってるのですが、何分にも私どもは貧乏ですからね。いくら国もとの方へ手紙を出しましても、もう六月《むつき》というもの返事もありません。きっと母親も死んだに違いありません。」
「ああ!」と男は言って、何か考えに沈み込んでしまった。
「その母親というのも大した者ではありません。」と上さんはつけ加え
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