ら、十五スーだよ。」
 コゼットは胸掛けの横に小さなポケットを一つ持っていた。彼女は物も言わずにその銀貨を取って、ポケットの中に入れた。
 それから彼女は、手に桶を下げ、開いている戸を前にして、じっと立っていた。だれか助けにきてくれる人を待ってるがようだった。
「行っといでったら!」とテナルディエの上さんは叫んだ。
 コゼットは出て行った。戸は閉ざされた。

     四 人形の登場

 露店の列が教会堂の所からテナルディエの宿屋の所までひろがっていたことは読者の記憶するところであろう。町の人たちがやがて夜中の弥撒《ミサ》のためにそこを通るので、それらの露店は、紙でこしらえた漏斗形の台の中にともされた蝋燭《ろうそく》の光で明るく照らされていた、そして、その時テナルディエの家の食卓についていたモンフェルメイュの小学校の先生が言ったとおり、「幻燈のようなありさま」を呈していた。その代わり、空には一点の星影も見えなかった。
 それらの露店の一番端のものは、ちょうどテナルディエの家の入り口と向かい合いに建てられていて、金ぴかのものやガラスのものやブリキ製のきれいなものなどで輝いてる玩具屋《おも
前へ 次へ
全571ページ中184ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング