た。私の方では大砲の音をまねて、ぼーん[#「ぼーん」に傍点]、ぼーん[#「ぼーん」に傍点]と言っていました。」
中庭の左手にある門は、前にいったとおり、果樹園に通じている。
果樹園も恐ろしい様を呈している。
それは三つの部分にわかたれている、あるいは三場にとも言い得るであろう。第一は庭であり、第二は果樹園であり、第三は森である。その三つの部分は共通の囲いを持っている。すなわち入り口の方は城や農家の建物で、左手は籬《まがき》、右手は壁、そして奥も壁である。右手の壁は煉瓦《れんが》造りで、奥の壁は石造りである。まず第一に庭にはいってゆく。庭は斜面になっていて、すぐり類の灌木《かんぼく》が植えられ、野生の植物がいっぱいはえており、切り石のおおげさな突堤で限られていて、その突堤には二重の脹《ふく》れのある柱の欄干がついている。それはルノートル式以前の最初のフランス式に成った広壮な庭であったが、今日ではすっかり荒廃と荊棘《いばら》とに帰してしまっている。欄干の柱の上には、砲弾のような丸い石がついている。今日なおその台石の上に立っている四十三の欄干が数えらるる。他の欄干は皆草の中にころがって
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