根の旗は白旗となった。亡命者が王位にのぼった。ハルトウェルの樅《もみ》のテーブルは、ルイ十四世式の百合《ゆり》花模様の肱掛椅子《ひじかけいす》の前に据えられた。人々はブーヴィーヌやフォントノアなど([#ここから割り注]訳者注 昔フランス王によって得られた戦勝の地[#ここで割り注終わり])のことを昨日の事のように語り、アウステルリッツは既に老い朽ちてしまった。教会と王位とは、おごそかに親愛の情を結んだ。十九世紀の社会安寧の最も動かし難き一形式が、フランスおよび大陸の上に建てられた。ヨーロッパは白い帽章をつけた。トレスタイヨン([#ここから割り注]訳者注 過激王党の首領の一人[#ここで割り注終わり])は世に高名となった。オルセー河岸の兵営の正面に太陽を象《かたど》った石の光線のうちには、多頭制に劣らず[#「多頭制に劣らず」に傍点]の箴言《しんげん》が再び現われた。皇帝親衛兵のいた所には今は赤服の近衛兵がいた。カルーゼルの凱旋門《がいせんもん》は、卑劣に得られた戦勝の名前におおわれ、それらの新流行に困らされ、おそらくマレンゴーやアルコラの戦勝の名前に多少恥じてか、アングーレーム公の像によって
前へ
次へ
全571ページ中111ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング