たる第一流の戦いである。
 ワーテルローの戦いにおいて賞賛しなければならないものは、イギリスであり、イギリスの強靱《きょうじん》、イギリスの決意、イギリスの血である。イギリスがそこにおいて有したみごとなものは、もしかく言うことがイギリスにとって不快でないならば、それはイギリス自身である。その将帥にあらずしてその軍隊である。
 不思議に忘恩なるウェリントンは、バサースト卿に贈った書簡のうちにおいて、彼の軍隊、一八一五年六月十八日に戦った軍隊は、「軽蔑《けいべつ》すべき軍隊」であったと述べている。ワーテルローの田野の下に埋もれているあの陰惨なるつみ重なった骸骨《がいこつ》どもは、それを何と思うであろうか?
 イギリスはウェリントンに対してあまりに謙譲であった。ウェリントンをかく偉大ならしむることは、イギリスを微小ならしむることである。ウェリントンはただ普通の一英雄に過ぎない。あの灰色のスコットランド兵、あの近衛騎兵、あのメートランドおよびミッチェルの連隊、あのパックおよびケンプトの歩兵、あのポンソンビーおよびソマーセットの騎兵、霰弾《さんだん》の下に風笛を奏していたあのハイランド兵、あのラ
前へ 次へ
全571ページ中101ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング