にはヘンクイネス[#「ヘンクイネス」に傍点]という名前が読まれる。それからまた他の名前もある、リオ[#「リオ」に傍点]・マイオルのコンデ[#「マイオルのコンデ」に傍点]、アルマグロ[#「アルマグロ」に傍点](ハバナ[#「ハバナ」に傍点])の侯爵および侯爵夫人[#「の侯爵および侯爵夫人」に傍点]。フランス人の名前もあるが、皆感嘆符のつけられているのは憤怒のしるしである。一八四九年にその壁はまた白く塗り直された。種々の国民がそこで互いに侮辱し合っていたからである。
手に斧《おの》をつかんでる一つの死体が拾い出されたのは、その礼拝堂の入り口においてだった。その死体は少尉ルグロであった。
礼拝堂から出てゆくと、左手に一つの井戸がある。中庭には井戸は二つある。しかしこの一方の井戸には釣瓶《つるべ》も滑車もないのはなぜかと、人は怪しむだろう。それはもうだれも水をくむ者がないからだ。なぜもう水をくまないのか。骸骨《がいこつ》が中にはいっぱいはいっているからだ。
その井戸から最後に水をくんだ者は、ギーヨーム・ヴァン・キルソムという男であった。それはウーゴモンに住んで園丁をやっていた田舎者《いなか
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