って、心のうちに討議し熟慮した重大なまじめな悪行である。彼の行為前の考えは相次いで三段の順序を経た。それは、ある種の素質を有するもののみが経過する三段であって、理屈と意欲と執拗《しつよう》とである。彼の行為の動力としては、たえざる憤激、内心の憂悶《ゆうもん》、自分の受けた不公平についての根深い感情、それから反動、もしありとすれば、善なるもの無垢《むく》なるもの正しきものにさえ対する反動、などがあった。彼のあらゆる思想の発点は、その帰点と同じく、人間の法律に対する憎悪であった。その憎悪の念は、もしその発展の途において何か天意のでき事によって止めらるることのない時には、やがては社会に対する憎悪となり、次には人類に対する憎悪となり、次には天地万物に対する憎悪となり、ついには、いかなる者たるを問わず、いやしくも生ける者ならばそれを害せんとする、漠然《ばくぜん》たるやむことなき獣性の願望となって現わるるものである。――これをもって見れば、通行券にジャン・ヴァルジャンを至って危険なる人物[#「至って危険なる人物」に傍点]なりと称したのは理由なきことではない。
年ごとに彼の魂は、徐々にしかし決定的
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