もって、彼の上を踏みつけ彼を踏みつぶした。およそあり得べきほどの不幸のどん底に陥った魂、だれももうのぞかんともせぬ地獄の最も深い所に墜《お》ちた不幸なる人々、法律によって見捨てられた人々、彼らは、おのれの頭の上に人類社会の全重量が、その外部にある者にはきわめて強大でその下にある者にはきわめて恐ろしい人類社会の全重量が、押しかぶさって来るのを感ずるものである。
 かくのごとき境涯にあってジャン・ヴァルジャンは考えにふけっていた。そして、彼のその夢想はいかなる性質のものであったであろうか。
 もし粟粒《あわつぶ》にして挽臼《ひきうす》の下にあって考うることをするならば、それは疑いもなくジャン・ヴァルジャンが考えていたと同じことを考えるであろう。
 すべてそれらのこと、幻影に満ちた現実と現実に満ちた夢幻とは、ついにほとんど名状すべからざる内的状態を彼に造りあげた。
 時として彼は徒刑場の労役の合い間に手を休めた。そして考え初めた。以前よりも更に熟すると同時に更に乱された彼の理性は、いきり立っていた。到来したすべてのことが彼には不条理に思われた。とりまいているすべてのことがあり得べからざること
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