四件まではその直接原因が飢えにあることを証している。
ジャン・ヴァルジャンはすすり泣きし戦慄《せんりつ》しながら徒刑場にはいった、そしてまったく没感情的になってそこから出てきた。彼はそこに絶望をもってはいり、そこから沈鬱《ちんうつ》をもって出てきた。
彼の魂のうちにはいかなる事が起こったのであったか?
七 絶望のどん底
さて彼の魂のうちにいかなることが起こったかを述べてみよう。
それらのことを作り出したのは社会であるから、社会はまさにそれらのことを見るべきである。
前述のごとくこの男は無知であった、しかしながら遅鈍ではなかった。自然の光明は彼のうちにも点ぜられていた。不幸もそれ自身の光を有するもので、それはこの男の精神のうちにあった少しの明るみをいっそう大きくなした。鞭《むち》の下に、鎖の下に、牢獄のうちに、疲労の間に、徒刑場の燃ゆるがごとき太陽の下に、囚徒の板の寝床の上に、彼は自分の内心を顧み、考えにふけった。
彼は自分を法官の地位に置いてみた。
彼は我と我が身を裁断し初めた。
彼は自分を無実の罪で罰せられた潔白な者とは思わなかった。罰せらるべきひどい行
前へ
次へ
全639ページ中190ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング