」と司教は言った、「も一人分だけ食器の用意をなさい。」
 男は三歩進んで、食卓の上にあったランプに近寄った。そしてよく腑《ふ》に落ちないようなふうで言った。「いや、そんなことではないんです。わかったのですか。私は懲役人ですよ。囚人ですよ。監獄から出てきた者ですよ。」彼はポケットから大きな黄いろい紙片をとり出してひろげた。「これが私の通行券です。御覧のとおり黄色です。このために私はどこへ行っても追い出されるんです。読みませんか。私も読むことはできる。徒刑場で習ったのです。志望者のために学校ができてるんです。いいですか、通行券にこう書いてあります。『ジャン・ヴァルジャン、放免囚徒、生地……――これはどうでもいいことだ、――徒刑場に十九カ年間いたる者なり。家宅破壊窃盗のため五カ年。四回脱獄を企てたるため十四カ年。至って危険なる人物なり。』このとおりです! だれでも私を追っ払うんです。それをあなたは泊めようというんですか。ここは宿屋ですか。食物と寝所とを私にくれると言うのですか。あなたの所に廐《うまや》でもあるのですか。」
「マグロアールや、」と司教は言った、「寝所の寝台に白い敷布をしきなさい
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