の家にゆくのだから」に傍点]と言って、トロア・ドーファンの宿屋に行ったのであった。そのトロア・ドーファンのラバールの光栄は、二十五里へだてたクロア・ド・コルバのラバールの上にまで反映していた。町では彼のことをグルノーブルの男の従弟[#「グルノーブルの男の従弟」に傍点]だと言っていた。
旅の男はこの地方で最上等のその宿屋の方へ歩みを向けた。そしてすぐ街路に開かれてる料理場にはいった。竈《かまど》はみな火が燃えており、炉には威勢よく炎が立っていた。主人はまた同時に料理人頭であって、竈《かまど》や鍋《なべ》を見て回り、馭者《ぎょしゃ》たちのためにこしらえる旨《うま》い食事の監督をし、ひじょうに忙しかった。馭者たちが隣の室で声高に笑い興じてるのも聞こえていた。旅をしたことのある人はだれでも知ってる通り、およそ馭者たちほどぜいたくな食事をする者はいない。肥った山鼠《モルモット》は白鷓鴣《しろやっこ》や松鶏《らいちょう》と並んで、長い鉄ぐしにささって火の前に回っており、竈の上には、ローゼ湖の二|尾《ひき》の大きな鯉《こい》とアロズ湖の一尾の鱒《ます》とが焼かれていた。
主人は、戸があいて新しく
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