らしいものだったので美しいということを忘れさせるほどだった。
 彼の優雅な風貌《ふうぼう》の一つであってわれわれが既に述べたところの、あの子供らしい快活さをもって彼が話をする時、人は彼の傍《そば》にあっていかにも安易な気持を覚え、あたかも彼の全身から喜悦がわき出て来るかのようであった。彼の生き生きした赤味を帯びた顔色や、笑うたびにほの見えるまだそろってる真っ白な歯列《はなみ》などは、彼に打ちあけた気安い風格を与えていて、若い人についてなら「いい児だ」と言いたく、老人についてなら「好々爺《こうこうや》だ」と言いたい気を起こさせるほどのものだった。彼がナポレオンに与えた感じはちょうどそういうものであったことは、人の思い起こし得るところであろう。最初のうちは、または初めて彼を見る人にとっては、実際彼はほとんど一個の好々爺にすぎなかった。しかしながら、もし彼の側に数時間とどまっているならば、そして少しでも彼が考え込んだ様子をしているのを見る時には、その好々爺はしだいに姿を変じて何かしら人を威圧するような風貌になるのであった。彼の広い真摯《しんし》な額《ひたい》は、すでにその白髪のためにおごそか
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