前の二人の子供に劣らなかった。上等のリンネルの帽子をかぶり、着物にはリボンをつけ、帽子にはヴァランシエーヌ製のレースをつけていた。裳《も》の襞《ひだ》が高くまくられているので、ふとった丈夫そうな白い腿《もも》が見えていた。美しい薔薇《ばら》色の顔をして健康そうだった。頬は林檎《りんご》のようでくいつきたいほどだった。その目については、ごく大きくてりっぱな睫毛《まつげ》を持ってるらしいというほかはわからなかった。子供は眠っていたのである。
子供はその年齢特有な絶対の信頼をこめた眠りにはいっていた。母親の腕は柔和である、子供はそのなかに深く眠るものである。
母親の方は見たところ貧しそうで悲しげだった。またもとの百姓女に返ろうとでもしているような女工らしい服装をしていた。まだ年は若かった。あるいはきれいな女であったかも知れないが、その服装ではそうは見えなかった。ほつれて下がっている一ふさの金髪から見ると、髪はいかにも濃さそうに思えるけれど、あごに結びつけたきたない固い小さな尼さんのような帽子のために、すっかり隠されていた。美しい歯があれば笑うたびに見えるのだが、その女は少しも笑わなかった。目は既に久しい以前から涙のかわく間もなかったように見えていた。顔は青ざめていた。疲れきって病気ででもあるようなふうをしていた。腕の中に眠っている女の児を、子供を育てたことのある母親に独特な一種の顔付きでのぞき込んでいた。廃兵の持ってるような大きな青いハンカチをえりにたたみつけて、肩が重苦しそうに蔽《おお》われていた。手は日に焼けて茶褐色の斑点《はんてん》が浮き出していて、食指は固くなって針を持った傷がついていた。褐色の荒い手織りのマントを着、麻の長衣をつけ、粗末な靴をはいていた。それがファンティーヌであった。
まさしくファンティーヌであった。がちょっと中々そうとは思えなかった。けれどよく注意してみれば、彼女はなおその美貌を持っていた。少し皮肉らしさのある愁《うる》わしげなしわが、右の頬に寄っていた。彼女の化粧、快楽とばか騒ぎと音楽とでできてるかのようで、鈴を数多くつけライラックの香気をくゆらしたあのモスリンとリボンとの軽快な化粧は、金剛石かと思われるばかりに日の光に輝く美しい霜のように、はかなく消え失せてしまったのだった。美しい霜は解けて、黒い木の枝のみが残る。
あの「おもしろい
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