一度、戸口から日向《ひなた》へ出て行く彼女の姿を――人込みの中に――見てとった。
彼はパリーにもどってから間もなく、旧敵レヴィー・クールと和解することになった。彼は邪悪な才能と悪意とを併用して、長い間クリストフを攻撃してきた。それから、成功の絶頂に達し、名誉に飽き、満腹し落ち着いたので、クリストフの優秀さを内々認めてやる気になった。そして握手を求めてきた。クリストフは攻撃にも好意にも、何一つ気づかぬふうをした。レヴィー・クールは根気がつきた。二人は同じ町に住んでいて、しばしば出会うことがあった。でもたがいに知ってる様子をしなかった。クリストフは通りすがりに、ちらと彼の上へ視線を投げながら、彼を眼にも止めないようなふうをした。相手を否定するその泰然たるやり方に、レヴィー・クールはいつも激昂《げっこう》した。
レヴィー・クールは二十歳未満の娘を一人もっていた。きれいで、すっきりして、優雅で、小羊のような横顔、房々《ふさふさ》と縮れた金髪、婀娜《あだ》っぽいやさしい眼、ルイニ流の微笑をもっていた。二人はよくいっしょに散歩した。クリストフは彼らとリュクサンブールの園でしばしば行き会った。
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