は、離れているときにますます大きくなる。愛する者の心は、彼らのうちのもっとも懐《なつ》かしい事柄ばかりを覚えている。遠く離れた友からはるかに伝わってくるおのおのの言葉の反響は、敬虔《けいけん》な震えを帯びて静寂のうちに鳴り響く。
 クリストフとグラチアとの音信は、もはや恋愛の危険な試練の時期を通りすぎて、己《おの》が道を確信しながら、たがいに手を取って進んでゆく夫婦に見るような、自分を押えた真面目《まじめ》な調子になっていた。どちらも、相手を助け導くほどしっかりしていたし、また、相手から助け導かれるほど弱かった。
 クリストフはパリーへもどった。もうパリーへはもどるまいとみずから誓っていたけれど、そんな誓いが何になろう! 彼はパリーでなおグラチアの影が見出されることを知っていた。そしていろんな事情は、彼のひそかな願望といっしょになって彼の意志に反対して、パリーで新たな義務を果たさなければならないことを彼に示した。上流社会の日常の出来事に精通してるコレットは、クリストフへその年若い友ジャンナンが馬鹿《ばか》げた道へ進んでることを知らした。子供にたいしていつも非常に気弱だったジャックリーヌ
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