「私の子供を返してください!」
それは、前に子供とオリヴィエとを見捨てた女――ジャックリーヌだった。しかしそれと認めがたいほど変わりはてていた。彼女の狂気じみた恋愛は長つづきしなかった。情夫が彼女に倦《あ》きるよりももっと早く、彼女のほうで情夫に倦きはてた。彼女は心くじけ嫌気《いやけ》がさし老い衰えてもどってきた。彼女の情事のあまりに騒々しい醜聞のために、多くの家は戸を開いてくれなかった。もっとも物事を気にかけない人々でもやはり厳格だった。母親でさえもジャックリーヌにたいしては、家にとどまっておれないほど侮辱的な軽蔑《けいべつ》の様子を見せつけた。ジャックリーヌは世間の偽善を底まで見通した。そしてオリヴィエの死によってすっかり圧倒されてしまった。彼女があまりに痛ましげなふうをしていたので、セシルは彼女の要求を拒み得ない気がした。自分のものとして見|馴《な》れていた子供を人に与えるのは、いかにも辛《つら》いことだった。けれども、自分より多くの権利をもち自分よりいっそう不幸である者にたいして、どうしてなお酷薄であられようぞ。彼女はクリストフに手紙を書いて相談しようとした。しかしクリストフ
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