日の朝、彼女は九時ごろに眼を覚《さ》ました。一言もいわずに両足を寝床から出して、下に降りようとした。ブラウンは走り寄って、彼女を寝かそうとした。彼女は強情を張った。どうしたいのかと彼は尋ねた。彼女は答えた。
「礼拝に行くのです。」
彼はいろいろ言いきかせ、今日は日曜日ではないから寺院は閉まってると言った。彼女は口をつぐんだ。しかし寝台のそばの椅子《いす》にすわって、うち震える指で着物をひっかけた。ブラウンの友人である医者がはいって来た。彼もブラウンに口を添えて説き聞かせた。それから彼女が譲歩しないのを見て、彼女を診察し、ついに承諾した。彼はブラウンをわきに呼んで、細君の病気はまったく精神的のものらしいから、当分その意に逆らってはいけないし、ブラウンがついて行きさえすれば、外出しても危険はないと思う、と言った。それでブラウンは自分もいっしょに行こうと彼女に言った。彼女はそれを拒んで一人で行きたがった。しかし室の中を歩き出すや否やつまずいた。すると一言もいわずにブラウンの腕を取って、二人で出かけた。彼女はたいへん弱っていて、途中でよく立ち止まった。帰りたいのかと彼は何度も尋ねた。すると彼
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