出すのが苦しかった。その愚鈍なのが恥ずかしかった。エマニュエルはジャン・クリストフのそばではたまらないほど愚鈍になった。むっつりと黙り込んでしまった。彼はクリストフをオリヴィエに愛せられてるからとて憎んでいた。他の者が自分の師匠の心中に場所を占めることが我慢できなかった。そしてクリストフもオリヴィエも、この少年の魂をかじってる愛と嫉妬《しっと》との狂暴を夢にも知らなかった。とは言え、クリストフも以前そういう心境を経てきたのだった。しかし彼は自分と異なった地金でできてるこの少年に理解がなかった。不健全な遺伝から成ってるこの不分明な合金のなかでは、すべてが――愛も憎しみも内在的精神も――一種異なった音をたててるのだった。

 五月一日が近まってきた。
 不安な風説がパリーに広まっていた。労働総組合[#「労働総組合」に傍点]の虚勢家らが風説の伝播《でんぱ》に手伝っていた。彼らの新聞紙は、重大な日が来ることを告げ、労働軍を召集し、有産者のもっとも急所を、腹を、突くべき威嚇的な言葉を発していた……腹を攻めよ[#「腹を攻めよ」に傍点]と。総同盟罷業をもって有産者を脅かしていた。怖気《おじけ》だった
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