しく映ずるのだった。弱くて善良でしかも残酷であり、時には天才の閃《ひら》めきを見せる、かかる女の魂と親和することは、いかに多くのものを彼にもたらしたことであろう! 彼女は彼に、人生や人間について――女について、多くのことを教えてくれた。彼はまだ女性をよく理解していなかったが、彼女は鈍い洞察《どうさつ》力をもって女性を批判していた。ことに彼は彼女のおかげで、劇をよりよく理解するようになった。芸術のうちでもっとも完全なもっとも簡潔なもっとも充実したものである、この驚嘆すべき劇芸術の精神の中に、彼女は彼をはいり込ませた。人間の夢想のこの魔術的な道具を、彼女は彼に開き示してやった。ただ自分のためにのみ書くという彼の傾向――(ベートーヴェンの実例にならって、霊感に接してるときに[#「霊感に接してるときに」に傍点]呪《のろ》うべきヴァイオリンなどのために[#「うべきヴァイオリンなどのために」に傍点]書くということを拒んでる、あまりに多くの芸術家らの傾向)――それに従ってはいけないということを、彼女は彼に教えてやった。偉大なる劇詩人は、きまりきった舞台のために働いたり、自分の自由になし得る俳優らにか
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