解けて、子供のときからの身の上話をした。
悲しい幼年時代だった。父は通り合わせの男で、彼女はそれを覚えていなかった。母はフランス北部のある町はずれに、評判の悪い飲食店を開いていた。車力たちが酒を飲みにやって来て上《かみ》さんといっしょに臥《ふせ》り、上さんをひどい目に会わしていた。そのうちの一人が彼女と結婚した、彼女に少し小金《こがね》があったから。彼は彼女をなぐりつけ、飲み食いばかりしていた。フランソアーズには一人の姉があって、その飲食店で女中の働きをしていた。仕事に疲れきっていた。亭主《ていしゅ》は上さんに公然と眼の前で、彼女を情婦にしていた。彼女は肺病だった。死んでしまった。フランソアーズは打擲《ちょうちゃく》や汚行のなかに育っていった。胆汁《たんじゅう》質のなつかしみのない娘で、熱い荒っぽい小さな魂をもっていた。母や姉が、泣き、苦しみ、あきらめ、堕落し、死んでゆくのを、彼女は見てきた。そして憤然とした意志で、あきらめまいとし、その穢《けが》らわしい環境からのがれようとした。彼女は反抗者だった。ある種の不正な事柄を見ると、神経の発作を起こした。なぐられると、引っかいたり噛《か
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