ん細やかだった。眼は変わりやすくて、灰色であり琥珀《こはく》色であり、緑や金など各種の反映を帯びることができ、あたかも猫《ねこ》の眼のようだった。それからまた彼女は、その性質全体も猫に似寄っていて、外見上うつらうつらして半ば眠ってるようでありながら、眼を見聞いて何かを待ち受けており、いつも疑懼《ぎく》の念をいだいてるらしかったが、時によると急に神経のくつろぎを見せ、しかもある残忍さを隠しもっていた。見かけほど背は高くなく、痩せてるようだがそうでもなく、美しい眉となだらかな腕と長いしなやかな手とをもっていた。着物のつけ方や髪の結い方がじみ好みできちんと整っていて、ある種の女優に見るような放浪的なだらしなさも大袈裟《おおげさ》なお洒落《しゃれ》も、少しも見えなかった――この点においてもまた猫のようで、下層社会から出て来たにもかかわらず、本能的に貴族風だった。そしてその底には、取り去りがたい粗野が潜んでいた。
 彼女はも少しで三十歳になる年ごろらしかった。クリストフはガマーシュのところで、彼女の噂《うわさ》を聞いたことがあった。人々がひどく熱心に讃《ほ》めたててるところによると、彼女はきわめ
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