の愛情などはもつことができないのだったが、しかし苦しんでる者を見ると、それが一日の知人であろうと未知の人であろうと、かならずその人にたいして母親めいた心持を起こすのだった。もっとも厭な世話をも辞さなかった。もっとも多くの献身的な行ないを求める人々にたいしては、不思議な喜びの情をさえも覚えた。彼女は自分でもそれがどうしてだかよく知らなかった。おそらくは、おぼろな隠れた理想的な力の用途を、そこに見出してたのであろう。彼女の魂は生活の他の場合には萎縮《いしゅく》しきっていたが、そういうまれなおりにだけは大きく呼吸していた。他人の苦しみを少し和らげてやると、彼女はある安楽を感じた、そのときの彼女の喜びは、ほとんど不相応なものであった。――利己的であるその女の温情は、そしてまた、元来親切であるジャックリーヌの利己心は、共に美徳でも悪徳でもなかった。それが二人にとっては摂生法だったのである。ただ女工のほうがいっそう健康であった。
ジャックリーヌは苦悩のことを考えるとまいってしまった。肉体上の苦しみよりは死のほうが好ましいほどだった。美貌《びぼう》や青春など、自分の喜びの源の一つを失うくらいなら、
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