いずれの場合においても変化を免れない。それは危険な試練である。人は恋愛に服従したあとでなければ、恋愛をほんとうには知り得ない。共同生活の初年に当たっては、恋愛の調和はいかにも微妙なものであって、二人のいずれか一方に些細《ささい》な変調をきたすだけで、往々全体を破壊することがある。まして財産や環境の突然の変化は、いかに大なる影響を及ぼすかわからない。それに抵抗するためには、きわめて強く――もしくはきわめて無頓着《むとんじゃく》で――あらなければならない。
 ジャックリーヌとオリヴィエとは、無頓着でもなく強くもなかった。彼らは二人とも今までと違った光のなかで顔を見合わした。そして相手の顔が見知らぬものとなったような気がした。その悲しい発見をしたときに、彼らは愛の憐《あわ》れみからしてたがいに自分の心を隠し合った。彼らはまだやはり愛し合っていたのである。オリヴィエは仕事という隠れ家をもっていた。規則的に勉強すると平静な気持になることができた。ジャックリーヌには何にもなかった。何にもしてはいなかった。いつまでも寝床にぐずついたり化粧にかかったりして、幾時間も半ば裸のままじっと腰をおろしてぼんや
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