またオリヴィエにとっても、かなり幸福な時だった。初め彼女は、住居のことに気を奪われた。二人はパッシーの古い通りに、ちょっとした庭に面した小ぎれいな部屋《へや》を見出していた。家具や張り紙を選択することが数週間の仕事だった。ジャックリーヌはそのために、非常な精力と大袈裟《おおげさ》な熱情をさえも費やした。あたかも彼女の永遠の幸福が、壁紙の色合いや古|戸棚《とだな》の横顔にでも基づいてるかのようだった。つぎに彼女は、父や母や友人らとふたたび交わりだした。彼女は恋愛の間彼らをすっかり忘れていたので、それはまったく再発見と同様だった。彼女の魂がオリヴィエの魂に交じっていたとしても、オリヴィエの魂も多少彼女の魂に交じっていて、彼女は新しい眼で旧知の人々を見たので、ますますその感じが深かった。彼女には彼らがりっぱな者に思われた。と言ってそのために、初めのうちはオリヴィエの価値が減じはしなかった。両者はたがいに価値づけ合っていた。夫の精神的沈潜や詩的な薄ら明かりは、ジャックリーヌをして、享楽や光輝や他人の好感などをのみ求めるそれら社交界の人々のうちに、より多くの愉悦を見出さしめた。また、自分が属して
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