行ないもみな、悪意ある眼でながめられます。男子の学校の同僚たちは、町の陰口を恐れてか、あるいはひそかな反感か粗野な気質からか、彼女たちを常にのけものにして、珈琲店に入りびたって淫《みだ》らな話にふけったり、一日の仕事に疲れはてていたり、知識階級の女に飽き飽きして嫌悪《けんお》の念をいだいたりしています。そして彼女たちも、もう辛抱ができなくなります。ことに学校にいっしょに住まわせられるときにそうです。彼女たちの若いやさしい魂は、その無味乾燥な職業と非人間的な孤独の生活とをしていると、間もなく落胆させられてしまいますが、校長はたいていの場合、そういう魂をほとんど理解しません。彼女たちを助けようともしないで、人知れず悶《もだ》えるまま放っておきます。高慢な人たちだと考えるのです。そしてだれも彼女たちに同情する者はありません。財産と手蔓《てづる》とがないので、彼女たちは結婚することもできません。働くことに追われてばかりいるので、知的生活を営んでそれに愛着し慰められることもできません。宗教的なあるいは道徳的な特別の感情――(私は異状の病的の感情とも言いたいくらいです、なぜなら、全然自分をささげてしまうということは自然ではありませんから)――そういうある感情から、右のような生存が支持されないおりには、それは生きながらの死と同じです。――精神を働かすことがないからというので、慈善をやってみたところで、それが女に何かの助けをもたらすでしょうか。公の慈善や世間並みの慈善、博愛的な談話会、軽薄や親切やお役所風などが変に混ざり合ったやり方、情事の合い間に困窮を相手にしてしゃべり散らすふざけたやり方、そんなことで満足するにはあまりに真面目《まじめ》な魂をもっている女たちは、慈善ということからどんなに多くの苦《にが》い味をなめさせられることでしょう! もしそれに嫌気《いやけ》を起こして無謀にも、単に聞きかじっただけの困窮のまん中へ一人で飛び込んでゆくとしましたら、まあなんという光景に出会うことでしょう! ほとんど我慢できない光景です。それはまったく地獄です。それを救うために何ができましょう? 彼女自身その不幸の海のなかにおぼれてしまいます。それでもなお戦って、幾人かの不幸な人たちを救おうとつとめ、その人たちのために自分を疲らしてしまい、いっしょにおぼれるだけのことです。一人か二人かを救い得る
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