に生まれた者であった。大芸術家の伴侶《はんりょ》であって、その力強い魂から咲き出したように見える、貴族的ないじらしい友とも言えるのだった。レオナルドにおけるベルトラフィオ、ミケランジェロにおけるカヴァリエレ、若いラファエロがもっていたウンブリアの友だち、困窮な老年のレンブラントにながく忠実だったアールト・デ・ヘルデル、それにも等しかった。彼らはその師ほどの偉大さをもってはいないが、師のうちにある崇高純潔なものはみな、いっそう精神化されて彼らのうちにあるがように見える。彼らは実に天才の理想的な道づれである。

 二人の友情は二人のためによかった。友があれば生き甲斐《がい》が出てくる。友のために生きるようになり、時の磨滅《まめつ》力にたいして自分の保全をつとめるようになる。
 二人はたがいに充実し合っていた。オリヴィエは清朗な精神と病弱な身体とをもっていた。クリストフは強力と落ち着きのない魂とをもっていた。二人は盲者と中風患者とであった。そして今二人いっしょにいると豊饒《ほうじょう》な気がした。クリストフの影に身を置いて、オリヴィエは光にたいする趣味を見出した。クリストフは、悲しみの中や不
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