黷れを故人に近づけるもっとも確かな道は、故人と同様に死ぬことにあるのではなくて、生きることにあるのである。故人はわれわれの生によって生き上がり、われわれの死によって死んでゆく。
彼女はクリストフに会おうとは求めなかった。しかし彼が娘たちと階段を通る足音を聞いていた。そして扉《とびら》の後ろに隠れて子供たちの饒舌《おしゃべり》をうかがっていた。それを聞き取ると胸をどきつかせた。
ある日彼女が出かけようとしていたとき、階段を降りてくる小さな刻み足の音が聞こえた。いつもより少し騒々しかった。子供の声が妹に向かって言っていた。
「リュセット、そんなに騒々しくしちゃいけないわよ。ねえ、クリストフさんが言ったじゃないの、奥さんが悲しがっていらっしゃるからって。」
すると小さいほうは足音を忍ばせ小声で話しだした。ジェルマン夫人はもう堪えられなかった。扉を開き、娘たちをとらえ、荒々しく抱擁してやった。娘たちは恐《こわ》がった。一人は泣き出した。夫人は二人を放して、室にはいった。
それ以来、彼女はその娘たちに出会うと、強《し》いて笑顔を見せた。ひきつった微笑だった。――(彼女は微笑《ほほえ》む
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